「家族農業こそ」日本再生への道

2023年05月14日

本山よろず屋本舗さんのサイトより転載
http://motoyama.world.coocan.jp/

今回は、伊勢雅臣（いせ・まさおみ）氏の日本の農業に関する話題をお送りしたいと思います。
　よく言われることですが、日本の食料自給率は４割で、先進国の中では最低レベルです。
　ただし正確に言うと、カロリーベースでは３８％、生産額ベースだと６３％になります。
　生産額ベースでは３分の２なので、それほど悪くないという言い方もできそうですが、有事となり輸入がストップすると、確実に国民の半数以上が飢えることになります。
　カロリーベースでは、カナダ２３３％、オーストラリア１６９％、アメリカ１２１％、フランス１３１％となります。
　ドイツ、イギリス、イタリアは１００％以下ですが、日本の３８％という数字は突出して低い数値です。

　日本の農業は衰退の一途を辿っていますが、現在の日本政府の主張が以下です。

　「国内の農作物は価格的に輸入品に敵わないので、（対抗するために）農地の大規模化が必要」

　日本は山間傾斜地も多く、段々畑に代表されるように耕作地面積が諸外国に比べて小さいために、農業生産性が低いと言われています。これが価格的に輸入品に勝てない原因だと言われ、近年、農業の大規模化が叫ばれ、そのための法整備も進んできました。
　農業に関して素人の私は、こうした説明に単純に納得していました。
　しかし、伊勢雅臣氏の記事を読んで、目からうろこが落ちる思いでした。
　まず、アメリカ、カナダなどの大規模農業と、その反対の小規模な「家族農業」において、土地、水、化石燃料などの資源効率を比較をしたものを紹介します。

　資源効率（土地、水、化石燃料）において、

・大規模農業．．．農業資源の７５％を消費して、世界の２０％以下の食糧を提供。

・家族農業．．．．農業資源の２５％を利用して、世界の８０％以上の食糧を提供。

　次に、１ヘクタールで何人を養えるかといった土地の生産性です。

・大規模農業．．．アメリカ０．９人、オーストラリア０．１人

・家庭農業．．．．日本１０人

　あれれ、ちょっと待って！
　アメリカやオーストラリアなどの大規模農業って、全然効率悪いじゃん。なんと日本の１０分の１、いや１００分の１か・・・、となります。
　これは、目からうろこです！

　日本政府は、新型コロナワクチンでも国民に嘘を付き通して、毒液注射を国民に打ちまくりました。そうした政府の嘘は、農業の分野でも遺憾なく発揮されているようです。
　こうなってくると、政府の言っていることは全部ウソではないかとすら思えてきます。

　なぜこうなってしまうかと言うと、大規模農業は本来なら環境保護や食品安全性、供給の安全性確保にかかるコストを除外しているからだといいます。
　さらに、アメリカやカナダでは生産性向上のため強い発癌性が疑われる農薬のグリホサートが使われています。日本の学校給食パンでは輸入小麦を使用している１４製品中、１２製品でグリホサートが検出されたといいます。
　もちろん一般に販売されているパンなどの小麦製品からもグリホサートが検出されています。
　これが、日本人の２分の１が癌になり、３分の１が癌で死ぬということの大きな要因になっていることは想像に難くありません。

　もう一つ、私が目からうろこだったことがあります。
　日本の自営農業人口は１３０万人（２０２１年）で、平均年齢は６８歳だといいます。
　毎年、５万人の新規就農者がいますが、年齢的に農業を辞める人もいて、毎年７万６０００人づつ減っているそうです。
　その結果、現在では埼玉県の広さに匹敵する農地が耕作放棄地となっているそうです。
　伊勢雅臣氏は、こう言います。

　「現在は１３０万人の農民で自給率３８％を達成しているのです。となると、あと２００万人ほど農民が増えれば、自給率１００％を達成できる計算になります」

　なるほど！　です。
　日本の人口は１億２５５０万人です。
　そのうち生産年齢人口（１５～６４歳）は、７４５０万人です。
　このうち２００万人（生産年齢人口の２．７％）ほどが農業に転職してくれれば、自給率１００％達成です。
　耕作放棄地が社会問題となっている中で、日本の２．７％が農業に転職してくれることを期待するのは、けっこう現実味がある気がします。

　若者が農業をやりたがらないのは、「農業は儲からない」という思い込みがあるからだという指摘もあります。
　そこで、夫婦で家庭農業をやりながら、年収１２００万円を達成している例を、『ルネサンス　食がもたらす“病”』から紹介させていただこうと思います。

　・・・＜『ルネサンス　食がもたらす“病”』、ｐ５０～ｐ５２から抜粋開始＞・・・

　「家族農業」こそ効率的

　国連の採択した「家族農業の１０年」は、まさに我が国の農業の再生への道を指し示しています。小規模農業なら、我が国の平地の少ない国土にも適していますし、各地の気候や地形に適応した作物を育てることができます。
　そのお手本として「日本一小さい専業農家」を自称する西田栄喜（えいき）さんの事例を見てみましょう。「日本一小さい」という規模がどれくらいかというと、耕地面積が０．３ヘクタールとサッカーコート半分くらいの大きさです。平均的な野菜農家の耕地面積は３ヘクタール以上ですから、西田さんの畑はその１０分の１という大きさです。そこに小さなビニールハウスが４棟立っています。
　この小さな規模で、奥さんと二人で５０種以上の野菜を無農薬栽培し、野菜セットや漬物などの店舗直売やネット販売により、年間売上１２００万円、利益６００万円を計上しています。「夫婦と子供二人の田舎暮らしなら、今ぐらいの所得があれば、心身ともに豊かになれると実感しています」とのことです。また初期投資は農機具などの購入費用１４３万円だけで、今日に至るまで借金をしたことも、補助金を貰ったこともないというから驚きです。
　平均的な農家の１０分の１の規模で、どのようにして６００万円もの所得を達成しているのでしょうか？
　通常の農家では、１００円の農産物を売ると、都市部のスーパーなどに送る流通経費を５４円もとられて、手取りは４６円。ここから農業経費３２円を差し引くと、利益は１４円しか残りません。これを西田さんのように直売所やインターネット直販にすると大量生産・大量販売のための流通経費がまるまる浮いて、農業経費３２円を差し引いた６８円が利益として残るのです。
　また一般的な野菜農家では、収穫物の平均３割が廃棄されているといいます。サイズが規格外であったり、曲がったりしていて見た目が悪いと、市場で扱ってもらえないのです。それに対して西田さんは、傷ものや不揃いの野菜でも漬物にしたりジュースにしたりと加工品にして販売することで、廃棄ゼロに挑戦しています。こうしたスモール・メリットで、通常の農家の何倍もの利益を上げることができるのです（西田栄喜　『農で１２００万円！』）。
　それでも、こういう零細農家がいくら集まっても、国全体の「食の安全保障」に十分な規模にはならないのでは、と多くの人は思うでしょう。しかし、現在は１３０万人の農民で自給率３８％を達成しているのです。となると、あと２００万人ほど農民が増えれば、自給率１００％を達成できる計算になります。
　「日本一小さい専業農家」は夫婦二人で年収６００万円ですから、一人あたり３００万円。日本全体では、年収３００万円以下の人が３０００万人近くもいると言われています。年収３００万円を得られて、しかも生活費の安い、自然の豊かな地方で生活できるのなら、派遣やフリーター、アルバイトをしている人々も、あるいは定年後の第二のキャリアを求める人にしても、家族農業を希望する人はいくらでもいるでしょう。
　ところが、現在の日本で新規就農をするためには、各都道府県ごとに決められた条件をクリアした上で、農業委員会の許可を得る必要があります。許可項目の中には当然ながら農地の下限面積も含まれており、例えば埼玉県ならちょうど西田さんの耕地と同じ０．３ヘクタール３０アールが、また北海道は２ヘクタール以上（地域によっては農業委員会が未満面積を設定している場合もあり）が必要となります。そのためまずはこのハードルを越えなければなりませんが、新参者にはなかなか貸してもらえないのが実情で、農家人口が増えない大きな要因のひとつとなっています。

　・・・＜抜粋終了＞・・・